銀色ネコの憂鬱
月曜
(今日で個展も終わりかぁ…始まったらあっという間だったな。)
菫は仕事中も、蓮司のアメリカ行きの話と結婚のことを考えていた。

「おつかれさま。」
「え?スミレちゃん。どうした?」
菫は仕事帰りにギャラリーに顔を出した。蓮司が片付けを終えようとしていた。
展覧会の風景が嘘のように、ガランとした空間が広がっている。
「片付けの手伝いにきたけど、もう終わっちゃうね。」
「うん、もう少しで終わるから待ってて。なんか食べに行こう。」

それから二人は食事をして、帰路についた。
「ねえ蓮司。」
歩きながら菫が言った。
「ん?」
「ニューヨークのこと、卯野さんと何か話した?」
「あぁ、うん。行かないつもりって言ったら、もう少しよく考えてみてくれって言われた。」
「そうなんだ。」
話が立ち消えていないことに菫はホッとする。
「断るつもりだけど。」
(やっぱり…)
「……ねえ蓮司」
「ん?」

「本当は行きたいんじゃないの?ニューヨーク。」
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