銀色ネコの憂鬱
出発当日 空港
「じゃあ、行ってくるね。」
「うん…」
「寂しい?」
「うん…」
「一緒に行く?」
菫は首を横に振った。
「つれない。」
蓮司は笑った。
「蓮司…」
「ん?」
菫は蓮司の首に腕を回して抱きついた。
「蓮司なら、一人でもちゃんとできるよ。」
「うん…見てて。」


蓮司がニューヨークに行ってからも、ミモザカンパニーからは一澤 蓮司の商品シリーズが発売されていた。
「今日一澤さんとウェブ会議するけど、スミレは参加しなくていいの?」
「いい いい。後で内容共有して。」
菫は恥ずかしがって参加しようとしない。
「結婚したなら恥ずかしがる必要ないじゃない。」
菫は首をぶんぶん振って拒否した。

「今度ね、また新しいイラストレーターさんに声かけた新商品が発売になるの。」
「へぇ。楽しみだね。」
菫はプライベートの時間で蓮司とビデオ通話していた。
「ところでスミレちゃん、なんで俺とのウェブ会議参加しないの?」
「…だってみんなニヤニヤしてこっち見るんだもん…」
「そんなの最初だけだって。早く慣れてよ、一澤 菫さん。」
蓮司は笑った。
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