ありったけにキス。



今だって、急にわたしを教室から連れ出して。

人目のつかないところに連れ込むのが、とっても得意。


いつ誰がここを通るかわからないのに。
そんなのぜんぶ考えさせる余裕を奪っちゃうのが、千咲くんのすごいところ。



「ね……柑乃。ダメ?」

「ぅ……千咲くんその顔ずるい……」


「……何が?しちゃダメなの?」

「うぅ……だからぁ」


計算なのか、それとも無意識なのか。

キスを誘ってくるときの千咲くんは、ぜったいダメって言わせない顔をするの。


熱っぽい瞳でとらえて、ぜったい目をそらさない。

お互いの吐息がかかる距離で、唇が触れるか触れないか。


絶妙にもどかしさを誘う……千咲くんの甘い魔法。

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