ありったけにキス。
こんなところで隠れてキスして。
抵抗しなきゃいけないのに。
「……ほら、柑乃もその気になってきた」
「ん……やぁ、ちが……う」
「どこが?ほらもっと口あけて」
「んんっ……ぅ」
じっくり甘い、溶かすようなキス。
もう完全にふたりだけの世界。
さっきまで、ほんのわずか残ってた正常な理性もどこへやら。
周りの音なんて、ぜんぶ耳に入ってこない。
入ってくるのは、キスの最中に聞こえるリップ音。
それと……。
「は……、どんだけしても足んないね」
千咲くんの甘い吐息だけ。