俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する 〜その後のエピソード〜

「お待たせしました。
ブラックコーヒーになります。」
少し手が震えてしまう。

「本当に大丈夫?
今日は寒いし、早く閉店した方がいいんじゃない?」
お客様に心配されてしまってバツが悪い。
頑張って笑顔を作り、

「今夜は寒くなりそうですね。
……早く閉店した方が良さそうですね。」

「雪が降ったら大変だから道路は大渋滞だよ。
急いで帰った方が良い。
コーヒーまた買いに来るね。」
ダンディなお客様は微笑み、足速に帰って行った。

ホッとし、座り込む。

まだ、手が震えている。
自分で何とか震えを止めようと、両手をぎゅっと握り締める。

男性恐怖症は、翔さんと知り合ってから克服出来たと思っていたのに……。

結婚式の純くんとの事件の後、
また、ぶり返してしまった気がする。

それとも、単に翔さんだけは大丈夫なだけなのかもしれない…。

今日はもう閉店にしようと震える体を何とか動かし、片付け始める。

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