俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する 〜その後のエピソード〜
どうしてこうも違うのだろう?
同じ男性なのに、果穂自身が不思議なくらい、翔には安心と信頼しか無い。

「安心したら眠くなってきちゃった。」
ふふっと笑う果穂に、翔も安堵した。

何があったか聞くのは酷だと、知りたいのを我慢して他の話題に話を逸らす。

「何か食べて帰るか?それとも買って帰ろうか?」

「家がいい。翔さんと二人がいい。」

可愛いお願いをされて、翔の頬も緩む。

「分かった。とりあえず家に帰ってコンシェルジュに頼むか。」

「うん。そうしよう。」
眠そうな果穂を横目に、翔は自分のコートを膝に掛けてあげる。

「ありがとう。」
翔のコートに包まれるように肩まで潜ってしまう。
「寒いのか?」

「ううん。こうしてると、翔さんの匂いがして安心するの。」

「加齢臭が……。」
怪訝な顔で翔が言うから、思わず果穂は笑ってしまう。

「ふふふっ、違うよ。
翔さんから加齢臭はあり得ない!
良い匂い。香水の匂い?
整髪料の匂いかなぁ。いい匂い。凄く安心する。」

「自分じゃ、よく分からない。
果穂の匂いは俺も好きだな。果穂はスイーツみたいに甘い香りがする。」

「…キッチンカーにいつもいるからかなぁ。」

「果穂はスイーツで作られてるからだろ?」
笑いながら翔が言う。

「甘いものばっかり食べてるって事?」
果穂はちょっとむくれた顔をする。

「頬もふわふわでマシュマロみたいだ。」
翔が、つんつん頬を突いてくる。

「ちゃんと、前向いて運転して下さい。」
怒ったような可愛い仕草に、
癒されながら家までのドライブを何事もなかったかの様に過ごした。
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