俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する 〜その後のエピソード〜

その後には、にこにこしながら副社長の雅也と眉間に皺を寄せた戸川が続く…

「果穂ちゃんお久しぶり、元気そうで何より。」
雅也が気さくに話しかけてくる。

「お疲れ様です。」
果穂は慌てて頭を下げる。

「移動cafe、結構繁盛してるんだって?」

「はい、お陰様で。
翔さんが見つけてくれた場所がとても良くて。」

「こいつそう言う感、昔から冴えてるから。
うちの社長が選んだ場所なら間違いない。」

「そうなんですね。
引っ切り無しにお客様が来てくれて、
閉店前に提供出来るものが無くなったりしちゃうくらいなんです。」

「そんなに来るんだ。
うちの商品も一緒に置いてもらったら?」
翔にそんな提案をしている。

「あそこは立地が良過ぎて、果穂が1人で裁くには忙し過ぎる。
これ以上、客が集まり過ぎたら大変だ。」

翔がそう言って、変な心配をするから、
ハハッって雅也も新田も笑ってしまう。

「客が来る事は嬉しい事だろ?
忙しい時間帯だけでも、誰かアルバイトを雇えばいいんじゃ無いか?」

「うちの社長が、何故か仕事を放っぽり出して駆けつけるんです。
スケジュール調整が大変ですよ。」
新田が愚痴を吐く。

「そう、だったんですね…てっきり休憩中だとばかり……。
すいません、お手数をお掛けして。」
申し訳なく思って、新田に頭を下げる。

「いえいえ、単なる社長の我儘ですから。
最近はその時間帯を休憩時間に当ててますので、心配しないで下さい。」
新田はそう言って果穂に微笑む、

「相変わらず、過保護だねー。
いいんじゃない?
翔にとったら気分転換になるんだろ。
その場所何処なの?
俺も手伝いに行ってあげるよ。」

「いえいえ、とんでも無いです。」
果穂は慌てて両手を振ってお断りをする。

これ以上、この会社の幹部達をタダ働きさせるなんて出来ない。

「お前には絶対教えない。果穂にちょっかい出すな。」
翔は本気で嫌そうな顔をする。

そんなやり取りを戸川がじっと怖い顔で、見ているのに気付き、果穂は慌てて一歩引く。
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