俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する 〜その後のエピソード〜
パーティー会場の階はまだ受付も準備段階で、バタバタとスタッフが忙しなく働いていた。

「こちらです。」
通された控え室には、新田と副社長の雅也、部長の優斗、もちろん翔も集まり、
何やら深刻そうな顔で話をしている。

果穂は邪魔をしてはいけないと、
美咲に合図してそっと部屋を出ようとする。

「果穂!どうした?」
目敏くそれに気付いた翔が、果穂の方へ向かって来るから、部屋にいる皆んなの注目を一点に浴びてしまう。

「あっ、ごめんなさい。お仕事中だと思って…。」

「……いや。ただ、話していただけだ…。」
そう言って、引き留める翔が目を見開いて固まるから、果穂も不安になる。

「あの…、少し席を外しますので、お話、続けて下さい。」

「いや、ダメ。席を外すのはコイツらの方だ。」
そう呟いて、翔がそっと果穂をエスコートし、ソファまで連れて行く。

「すいません。皆さんお話し中にお邪魔してしまって…。」
会社の幹部が集まって、真剣な顔で話し合っている所に来てしまって、バツが悪い果穂はしきりに恐縮してしまう。

「そんな大した話しじゃないから……
それより、果穂ちゃん?
雰囲気が変わって、凄くドレス似合ってる。綺麗だね!」
副社長の雅也から賛辞の声が聞こえてきて、果穂はほっとする。

「あ、ありがとうございます…
でも、プロのメイクのおかげだと思います。」
果穂は遠慮気味にそう言って、苦笑いする。

「いやいや、元が良いからメイクが映えるんだよ。今夜の果穂さんは可愛いじゃ無くて、綺麗だね。」
優斗にまで褒め称えられて、果穂は照れて真っ赤になってしまう。

翔が見兼ねて、
「お前ら、いいから早く仕事に戻れ。」

シッシッと、手で払う様に雅也と優斗を部屋から追い出す。
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