俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する 〜その後のエピソード〜
第四話 いろいろな家族の形

ある日曜日の朝

思えば、去年の春先に籍を入れてから、
いろいろと忙しい1年をこの東京で駆け抜けた。

果穂にとっては、これほど長く実家を離れた事が無かった為、全てが新鮮で翔との新婚生活を楽しんでいた。

結婚式は10月に地元で無事に終えた。

その後もクリスマスやお正月といろいろなイベントに追われて、バタバタと過ごしているうちに、

忘れていたとは言えないまでも頭の片隅に追いやって、あえて意識しないようにしていた大事なイベントが遂に近付いてきた。

そう、それは披露宴と言う名の、社内外を通して結婚した事を報告しお披露目すると言う、会社にとっても上流階級に位置する堀井家にとっても大切なイベントなのである。

そんな大事なイベントを1か月後に控えた、
とある日の日曜日。

高層マンションの一角で、
まだまだ見慣れる事のないスカイツリーの景色を楽しみながら、果穂は今日も朝から張り切って朝食を作っている。

翔はと言うと、
昨日は休日にも関わらず、上流階級の集まりに呼ばれ有無も言わさない勢いで、朝からゴルフに付き合わされ、夕方の会食、その後の飲み会へと続いた。

そろそろ帰らせてくれ、と心で悪態を吐きながらやっと家路に着いたのが1時過ぎ…。

愛しい新妻との再会に歓喜し、やっと辿り着いたベッドで、抱きしめたのを最後に翔の記憶は途絶えた。
< 185 / 232 >

この作品をシェア

pagetop