俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する 〜その後のエピソード〜
もうすぐ披露宴
翔から昼過ぎに、
義父の会社に2人来て欲しいと呼び出しがあったと電話がきた。
今日はキッチンカーの定休日で、
朝からラフな格好で家の掃除や買い物をしていた果穂は、その電話をもらってから、バタバタと身なりを整え始める。
今から迎えに行くって言っていたけど、いつ来る?
何着れば良い?手土産は?
どうしよう…
ちょっとパニックになる。
あたふたしながらなんとかメイクをして準備を整える。
ガチャッと、
玄関が開く音がして翔が迎えに来てくれる。
「ただいま、急でごめん。直ぐ行けるか?」
果穂もパタパタと玄関に駆け寄り、
「こんな服装で大丈夫ですか?
何か手土産は?手ぶらで平気?」
あたふたしながら聞く。
翔はぎゅっと抱き寄せ笑いながら、
「大丈夫だからちょっと落ち着け。
手土産は要らないし、どんな格好でも問題無い。」
それでもまだ果穂の心配は尽きず、
「もしかして、お色直しを断ったのがいけなかったのかな?」
翔の母が果穂の為にと着物を新調してくれたので、披露宴はその一着で充分だと、
翔を通して丁重にお断りを入れたのだが、
それがいけなかったのかと、心配になる。
「それなら、俺がこの前の飲み会で、親父に説教した事の方が咎められるだろ。」
「そんな事があったの?」
「知り合いの社長から、あの堀井社長に意見を言えるのは君ぐらいだって、次の日わざわざ電話がきた…
何を言ったかまったく覚えてない。」
それは親子だから大丈夫なんじゃないかなぁ、と果穂は何となく思う。
「とりあえず、腹を括って行くしかない。
果穂の事は俺が守るから、何があっても大丈夫だ。」
爽やかな笑顔でそう言って、果穂の手を握る逞しい手に安堵して、気持ちが落ち着く。