俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する 〜その後のエピソード〜
「いらっしゃいませ。
いつもご利用ありがとうございます。」
可愛く微笑む果穂の姿は、
この駅を使うサラリーマンにとって、
心のオアシスでもあり、束の間の安らぎを得られると、巷では有名になっている。
今は15時過ぎ、
コーヒー1杯の為に並ぶ会社員や、公園に遊びに来た親子が5組程列をなす。
公園の車道付近に、一台の黒光りする高級車が止まる。
その中から、
皺一つない、ピンっとしたワイシャツの袖をたくし上げながら、颯爽とその男は降りて来た。
彼は列の1番最後尾に立ち、商品を提供する果穂の様子を見つめている。
「ありがとうございました。またのご利用お待ちしております。」
偶然か?ワザとか⁉︎
アイスコーヒーを受け取るタイミングで、
客である会社員風の男が果穂の手を軽く握る。
その様子を最後尾に立つ男は苛立ち、
舌打ちまでして鋭い目線を投げ付けている。
「翔さん!お疲れ様です。」
果穂は男に気付き、満面の笑みで出迎える。
翔と呼ばれた男は微笑み、片手を上げて笑顔で答える。
翔は最前列に足を進め、胸ポケットに忍ばせたメモ帳とペンを取り出し、次の客からテキパキと注文を取り始める。
直ぐに提供出来る客、時間が多少かかる客に分けて、時間がかかる客には番号札を渡し、近くの木陰で待ってもらう様に促す。
「ありがとうございます。」
果穂からお礼を言われ、にこりと爽やかな笑顔を向けて、
「手伝う。」
と、キッチンカーに入って来た。
果穂は慌てて、彼にお揃いのエプロンを付ける。
子連れのママ友グループは、
この2人のやりとりを、まるで尊い者を眺める様に見つめ、
ザワザワと色めき立ち、最後尾に並ぶ者、
遠くから拝む者に分かれ、キッチンカーの周りは騒がしくなった。
しばらく、列は途切れる事なく続き、15分程でやっと客の波が引く。
「忙しそうだな。お疲れ様、果穂。」
客が途切れた所を見計らって、翔は果穂を労いオレンジジュースを渡す。
「ありがとう。」
「今日は客が多そうだし、
17時まで出すなら1人じゃ大変だろ?」
そう言って、翔は心配な眼差しで果穂を見つめる。
「駅に電車が来ると一気に人が増えるけど、その時間帯が過ぎれば、結構のんびりしてるから、大丈夫だよ。
それより、わざわざありがとう。
お仕事は大丈夫だったの?」
15分も手伝わせてしまった事を心配してしまう。
「大丈夫、俺の優秀な秘書が、
果穂が忙しそうな時間帯を狙って休憩を入れてくれている。」
「でも、それだと翔さんが休めないから…。」
「俺は果穂に会えるだけで、癒されてるから平気だ。
それより果穂は?昼飯は食べれたか?」
「お昼前に食べたから大丈夫。
翔さんは?サンドイッチとか食べますか?」
狭いキッチンカーの中、簡易イスを取り出して翔を座らせ、冷蔵庫からサンドイッチとマフィンを取り出し、どちらが良いかと翔に尋ねる。
翔はすかさず、果穂の差し出した手を引き自分の片膝に彼女を座らせ、囲ってしまう。
「隙だらけだな、俺の奥さんは…。」
困り顔でそう言って、彼女の腰に両手を回しす。
「手が塞がってるから食べさせて。」
新妻にそんな事を言って困らせる。
「翔さん、他の人に見られちゃいますから…。」
恥ずかしそうに彼女が言うが、
決して腕を緩める気配は無く、ただ見つめてくる夫に苦笑いして、諦めるしかない。
マフィンを袋から取り出し、ひと口大にちぎって翔の口に近づける。
翔はそれを嬉しそうに、パクッと指ごと口に含み彼女の指をペロッと舐めてマフィンをもぐもぐと咀嚼する。
その様子を少し離れた木陰のベンチで、
ママ達がキャーキャー言いながら観ている事に気付か無いのか?
と、それをまた少し離れた駐車場から運転手が呆れた顔で見守っていた。
いつもご利用ありがとうございます。」
可愛く微笑む果穂の姿は、
この駅を使うサラリーマンにとって、
心のオアシスでもあり、束の間の安らぎを得られると、巷では有名になっている。
今は15時過ぎ、
コーヒー1杯の為に並ぶ会社員や、公園に遊びに来た親子が5組程列をなす。
公園の車道付近に、一台の黒光りする高級車が止まる。
その中から、
皺一つない、ピンっとしたワイシャツの袖をたくし上げながら、颯爽とその男は降りて来た。
彼は列の1番最後尾に立ち、商品を提供する果穂の様子を見つめている。
「ありがとうございました。またのご利用お待ちしております。」
偶然か?ワザとか⁉︎
アイスコーヒーを受け取るタイミングで、
客である会社員風の男が果穂の手を軽く握る。
その様子を最後尾に立つ男は苛立ち、
舌打ちまでして鋭い目線を投げ付けている。
「翔さん!お疲れ様です。」
果穂は男に気付き、満面の笑みで出迎える。
翔と呼ばれた男は微笑み、片手を上げて笑顔で答える。
翔は最前列に足を進め、胸ポケットに忍ばせたメモ帳とペンを取り出し、次の客からテキパキと注文を取り始める。
直ぐに提供出来る客、時間が多少かかる客に分けて、時間がかかる客には番号札を渡し、近くの木陰で待ってもらう様に促す。
「ありがとうございます。」
果穂からお礼を言われ、にこりと爽やかな笑顔を向けて、
「手伝う。」
と、キッチンカーに入って来た。
果穂は慌てて、彼にお揃いのエプロンを付ける。
子連れのママ友グループは、
この2人のやりとりを、まるで尊い者を眺める様に見つめ、
ザワザワと色めき立ち、最後尾に並ぶ者、
遠くから拝む者に分かれ、キッチンカーの周りは騒がしくなった。
しばらく、列は途切れる事なく続き、15分程でやっと客の波が引く。
「忙しそうだな。お疲れ様、果穂。」
客が途切れた所を見計らって、翔は果穂を労いオレンジジュースを渡す。
「ありがとう。」
「今日は客が多そうだし、
17時まで出すなら1人じゃ大変だろ?」
そう言って、翔は心配な眼差しで果穂を見つめる。
「駅に電車が来ると一気に人が増えるけど、その時間帯が過ぎれば、結構のんびりしてるから、大丈夫だよ。
それより、わざわざありがとう。
お仕事は大丈夫だったの?」
15分も手伝わせてしまった事を心配してしまう。
「大丈夫、俺の優秀な秘書が、
果穂が忙しそうな時間帯を狙って休憩を入れてくれている。」
「でも、それだと翔さんが休めないから…。」
「俺は果穂に会えるだけで、癒されてるから平気だ。
それより果穂は?昼飯は食べれたか?」
「お昼前に食べたから大丈夫。
翔さんは?サンドイッチとか食べますか?」
狭いキッチンカーの中、簡易イスを取り出して翔を座らせ、冷蔵庫からサンドイッチとマフィンを取り出し、どちらが良いかと翔に尋ねる。
翔はすかさず、果穂の差し出した手を引き自分の片膝に彼女を座らせ、囲ってしまう。
「隙だらけだな、俺の奥さんは…。」
困り顔でそう言って、彼女の腰に両手を回しす。
「手が塞がってるから食べさせて。」
新妻にそんな事を言って困らせる。
「翔さん、他の人に見られちゃいますから…。」
恥ずかしそうに彼女が言うが、
決して腕を緩める気配は無く、ただ見つめてくる夫に苦笑いして、諦めるしかない。
マフィンを袋から取り出し、ひと口大にちぎって翔の口に近づける。
翔はそれを嬉しそうに、パクッと指ごと口に含み彼女の指をペロッと舐めてマフィンをもぐもぐと咀嚼する。
その様子を少し離れた木陰のベンチで、
ママ達がキャーキャー言いながら観ている事に気付か無いのか?
と、それをまた少し離れた駐車場から運転手が呆れた顔で見守っていた。