俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する 〜その後のエピソード〜
「揚げるの変わろうか?」
果穂は大皿を洗い終え、可奈を手伝おうとコンロに近付く。
その時、
パチンッと音と共に油の中の唐揚げが弾けて果穂に油が数滴飛ぶ。
「あつッ……。」
と果穂が小さく言ってその場を飛び退く。
「大丈夫⁉︎」
2人の声に反応した翔は、駆け寄り急いで果穂の手を取って水道水で冷やす。
「大丈夫、大丈夫です。翔さん…。」
咄嗟の事で、果穂は状況が分からなかったが、気付けば翔に背後から抱きしめられる様な体勢になっていて戸惑う。
可奈は2人を見つめて固まり、
騒ぎを聞きつけ、ダイニングから駆けつけた亮太が呆れ気味に言う。
「お前は、なんつうか…、過保護過ぎ。
この馬鹿ップルは……
もうちょい他人の目を気にして行動してくれ…。」
「いや、火傷は直ぐ冷やさないと手遅れになる。」
1人冷静な男は、至って真剣に果穂の火傷の跡を気にして冷やし続ける。
「翔さん…、もう、大丈夫。
痛く無いし大した事無いよ…。」
果穂は恥ずかしくなって、翔の腕の中から逃れるように離れる。
「ちゃんと見せて、水膨れになってないか?
跡が残ったら大変だから。」
翔はまだ心配な様子で果穂の手を離さない。
「なんだなんだ、火傷か?
庭からアロエ取ってきて付けときゃ治るよ。」
ビールを飲んで陽気な父がそう言いながらやって来る。
「いやいや、そんな民間療法はダメだから。」
さすがに亮太がツッコミを入れる。
「えっ⁉︎
アロエにそんな効果があるんですか?」
翔が真顔で父に聞く。
「真面目に聞くな。
単なるおばあちゃんの知恵袋だから…、
効くわけないだろ。」
呆れ顔で亮太は笑い、果穂もおかしくなって笑う。
「でもうちも良くおばあちゃんが、
ちょっとした擦り傷とかでアロエ使ってたよ。」
意外な所から同意の声が上がって、一斉に可奈を見る。
「本当に⁉︎効くの?」
皆んなで、ワイワイガヤガヤ騒がしくなった。
数分後、
気になった翔が、検索したらアロエは辞めた方がいいと言う結論に至った。