俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する 〜その後のエピソード〜

その後、クルージングは滞り無く終わる。

翔は怖い思いをした果穂の体調を心配したが、
大丈夫そうだ。

新田に任せておいた松田純は、こっ酷く脅されたのか、着替える為に控え室に戻った時には意気消沈して、部屋の隅で膝をかかえて丸まっていた。

「お疲れ様です。果穂さんは大丈夫でしたか？」
新田が笑顔で出迎える。
　
「ああ、今のところ大丈夫そうだが、　
しばらくは分からない。」

「で、何したらああなったんだ？」
純を見て、翔が苦笑いして問う。

「自分のしでかした事の罪状を法に従って教えただけですよ。後、お爺さんの方にさっき真実を報告しました。」

「ある意味、俺がシメるより最強なのかもな。」

翔は、純に近付き見下ろして言う。
「純君。君は果穂のおかげで警察沙汰にならずに済んだんだ。
果穂の前で土下座して謝ったら許してやるよ。
果穂は、子供の頃から虐められていて、　
君の事は苦手だと言っている。

君はそのつもりじゃ無くても、
相手の心を知らずに傷つけている事もあるんだ。
これに懲りて自分の在り方を一から反省するんだな。」

次にコイツに会ったら、
怒りが込み上げてくるかと思ったが、
キスのおかげか冷静に対応出来た。

空を見つめていた純が、正座して俺に頭を下げてきた。

「すいませんでした。
果穂が遠くへ行ってしまうみたいで…どうしようもなく衝動的に動いてしまって、
だけど…
あんなはっきり言う果穂は知らない…。

子供の頃からずっと好きだったんだ…。

果穂は泣き虫だから、弱いから、俺が守ってやるってずっと……
男の中で1番近くにいるのは俺だって…思ってたんだ……。」

頭を下げたまま泣き崩れる純を見て、
翔は不覚にも同情してしまう。

俺だって、選択を間違えればコイツだったのかもしれない…。

ふーっと一息吐いて、
「果穂は、決して弱くは無い。
いつだって、ブレない強さを持っている。」
きっと、いざとなったら俺より強いかもしれない。翔はそう思って、フッと笑う。