ソファーときんぴらごぼう
「…」
思ったより遅くならなかったので、おかずを作ってご飯も変わりご飯にして。
いつも通りなんだけど。
自分の料理を美味しそうに食べてくれる相馬さんがいないだけで何か足りない。
出会ってまだ一週間なのに。
認めたくない気持ちと疑う気持ちがごちゃまぜで。
でも。
マッサージしたら気持ちよさそうにしてたり。
美味しそうにご飯食べてくれたり。
私の負担を減らそうとしてくれたり。
行ってきますって頭ポンポンされたり。
気づいたら会計終わってたり。
起こそうとしたら逆に抱きしめられる姿勢になって…
髪の毛触られたのは嫌じゃなかった。
「…はぁー…しんど」
これもう、あれよ、あれ。
好き。
好き、なんだよねえ。多分。
いろんな自分が話し合いしてる。
恋とか愛とか。
時間じゃないとか言う人もいたような気がするけどさ。
一目惚れって言葉があるくらいだからさ。
認めたくないけど、否定できない。
相馬さんが好き。
そういうことよ。
頭がごちゃごちゃで、しんどい。
食べたら洗い物とかをして、お風呂に入ってすぐ布団に入ってみた。
頭がごちゃごちゃですぐ寝れないのはわかっていたけど。
ガチャっとドアが開く音がした。
帰ってきたのはわかったが、このまんま寝たふりをしよう。
なんか気まずいから。わたしが。
食器の音とか水の音とかがする。
お家にお邪魔して、夜に顔を合わさないの実は初めてかも。
なんだかんだ、起きているうちに帰って来ていたと思う。
おかえりなさいって言ってあげればよかったかな、とかぐるぐる考えてしまう。
自覚したらそこからはうじうじが止まらない。
ガチャっと扉が開いた。
私が寝ているか確認にでも来たのか!?
もちろん狸寝入り。
「…」
私の髪の毛を相馬さんの指が梳く。
「おやすみ」
とても小さい声だけどしっかり聞こえた。
バタンとドアが閉まる。
「…」
胸がいっぱいすぎる。
あの髪を梳く動作なんなの!どきどきするわ!
…まるで、大事な物を触るみたいな優しい手つきで。
ぐるぐる考えが回っている間に気づいたら寝ていた。