白衣の王子たち

「しー、静かにして」

口に指を当てて白衣姿の蓮くんが入ってきた。

「なんで?どうしたの?」

「いいから、ついてきて。」

手を掴まれて病室を出る。

上手に看護師さんがいないところを縫って

電気の消えた薄暗い外来棟に着いた。

「ちょ、どこいくの蓮くん。」

「クリスマスでしょ、今日。」

そう言って着いた場所は、

外来エントランスの大きいクリスマスツリーの前。

前、点滴を治してもらったところ。

クリスマスツリーの明かりと、

非常灯しかついていないエントランスは

病院には思えなくて

2人だけのイルミネーションみたい。

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