白衣の王子たち

ふと、蓮くんの方を見ると

夢中でケーキを食べているあまり

口の端にクリームがついている。

無意識にそのクリームを指で拭って

その指を舐めてしまった。

「っ、、、はな。

煽ってるの、、、?」

「っ!!ちがうの!

なんか勝手に手が、、、」

私の肩に蓮くんの頭が寄りかかってきた。

「あのバングルくれたのって、怜?」

さらさらの髪が首に当たってくすぐったい。

蓮くんの香水の匂いがする。

「うん、、、佐倉先生には、内緒だよ。」

「わかってるよ。

嫉妬するから、

捨てろとまでは言わないけど、

俺の前ではつけないで。

、、、かっこ悪いよね、こんなの。」

普段の蓮くんからは想像できない、

弱気な発言。

なんか、かわいい。

「うん、わかった。」

蓮くんは顔を上げる。

「このかっこ悪い俺も、

“内緒”だからな」

そう言って再びケーキをつつき始めた。

クリスマスの日の

2人の秘密。


< 128 / 295 >

この作品をシェア

pagetop