白衣の王子たち
___pipipi
タイミング悪く佐倉先生の返事が
体温計の音で聞こえなかった。
「え、なんて、、、?」
「ううん、なんでもないよ。気にしないで。」
いや、気にしないでって言われても、、、
佐倉先生は体温計を素早く抜き取ると、
表示面をみせてきた。
画面が示す温度は38.6℃
「これのどこが熱ないなの?」
「ごめんなさい、、、
だって、蓮くんのこと怒るじゃん、先生。」
「うん、心配しなくても
蓮もはなちゃんもお説教だから安心して。」
やっぱり、そうですよね、、、
その後もバイタル測られたり
されるがままのわたし。
「どう、熱どれだけ。」
いつのまにか蓮くんがシャワーから戻ってきた。
「38.6。蓮にと思って点滴もってきたけど、
蓮は熱下がったらしいし
はなちゃんにも使える薬剤だから、
点滴しようか。」
「えっ、点滴しないよ」
わたしはいやいやと首を振る。
「これ以上熱上がったら俺と怜で病院連れてくけど
入院いやだろ。
頑張ろ、はな。」
蓮くんも佐倉先生側につくなんて、、、
でも仕方ない、病院よりマシだもんね。
「うん、入院も病院もやだ、、、」
「なら、頑張れるよね。
蓮、後で点滴してあげて。
俺今、病院中抜けしてるから、戻らないと。
誰かさんの穴埋めで
外来てんやわんやなんだから。」
そうか、蓮くんお休みだから
病院大変だよね。
また一段と、
佐倉先生のクマが深くなりそうだな、、、
「悪いな、怜。
こんどお礼するから許して。
はな、怜のこと玄関まで送るから
ちょっと待っててね。」