白衣の王子たち
とりあえず、はなのところ戻らないと。
玄関から踵を返し、寝室に向かう。
寝室のドアを開けようとした時
中からくぐもった咳き込む音が聞こえた。
まずい、発作か。
慌ててドアを開けると
ベットの上で体を丸めて苦しむはなの姿。
「はな、大丈夫か」
「んっ、、、ひゅ、
れんく、、、」
「1人にしてごめん。
もう大丈夫だから、落ち着いて。」
一瞬焦ったけど、このレベルの発作だと
吸入すれば落ち着きそうだな。
枕元の収納から吸入を取り出す。
はなが定期的に泊まりにくるようになってから
吸入を常備するようにしててよかった。
はなを抱きよせて、口元に吸入をあてる。
いつも嫌がる吸入も、
しんどいのか大人しく吸ってくれる。
苦しみを紛らわすために握っていたであろう
手の平の爪痕が真っ赤で痛々しい。