白衣の王子たち
すっかり日が暮れた空を見ながら
蓮くんを待つ。
明日も実習だから、早く帰って寝ないと。
「お待たせ。」
見慣れた黒の外車から声をかけられて
高いフラップを踏み越えて助手席に腰掛ける。
「お願いしまーす。」
「ふふ、はーい。
礼儀正しいよね、はな。」
蓮くんはそう笑いながら、アクセルを踏み込む。
夏の夜の道を走り抜けていく車。
駐車場の線にギリギリなくらい大きい車だけど
容易く運転している蓮くん
すごいなぁ。
華奢な蓮くんに強そうな外車は
対極的だけど、とってもよく似合う。
運転する横顔はずっと見ていられるな。
「ん?どうしたの。
なんかついてる?」
「ううん、運転してる蓮くん。
かっこいいなって、思って。」
信号が赤になった。
「そんなかわいいこと言うの、禁止。」
運転席から身を乗り出してこられて
唇を合わせる。
「ちゃんと、前向いて運転してくださーい。」
「ここの信号長いから大丈夫。
なんなら、もう一回できるけど?」
にやりとする蓮くんの手を、ぺちんと叩いた。