白衣の王子たち
ある場所
ある場所。
それは一部の人しか知らない
病院の一角のベランダ。
私ともう1人しか知らない。
ベランダに着くと、
そのもう1人が先客としてタバコを吸っていた。
外は寒いな。
薄いパジャマ1枚で
12月の屋外は寒いに決まってるけど、、、
「、、、?あれ、ひさしぶりじゃん。」
「蓮くん。」
このベランダを知るもう1人。
それはこの大学病院の跡取り息子・石田蓮。
医者とは思えない風貌、
今時の黒髪マッシュのパーマで
舌ピアスまで空いている。
おまけに院内でこっそり喫煙するし
佐倉先生とは同期で犬猿の仲。
まぁ、真面目な佐倉先生と蓮くんは
仲良くなれるわけないよね(笑)
そして何故か蓮くんと呼ばされている。
「ちょっと、はな。腕から血出てる。」
吸っていたタバコを咥えながら、
私の腕を診る蓮くん。
点滴のルートを抜いた箇所を
慣れた手つきで止血してくれた。
処置してくれてる間に
至近距離で蓮くんの顔をみる。
顔はめちゃくちゃイケメンなんだよなぁ。
そして、なぜか私の名前は呼び捨てである。
「佐倉先生と話してて、
カッとなって病室出てきた。」
「あはは、相変わらずはなはパワフルだな。」
蓮くんはそう言って、
吸い殻入れにタバコを押しつけて火を消し、
ベンチに腰掛ける。
「おいで」
ベンチに手招きされ、横に座る。
隣に来ると男性物の香水の香りがふわりとする
それはいいとして全力疾走したから、
息がしんどい、、、
「ちょっと息しづらそうだね。走ったでしょ。」
すかさず手首で脈を取られる。
死ぬほどチャラいけど
こういうとこはちゃんと
お医者さんなんだよな
「うん、ばれた?
こゆとこだけ、医者だね(笑)」
「こういうところだけって、なんだよ(笑)
医者としての腕はまぁまぁあるんだからな」
そう、蓮くんはこんな感じであるが、
医者として賞を取ったりしているらしい。
頭はすごくいいんだとおもう。
わたしは数学が絶望的にできないから羨ましい。
「今回は何で入院してんの?」
いままでの経緯を説明した。
「まじか、
怜から血液検査データとか
見せてもらってたから
俺も心配してたんだけど
まさかこの状態で遊園地いってるとはね(笑)」
なんでか知らないが蓮くんは爆笑している。
「私も悪いとは思ってるよ。
でもね、言い方もあるし腹たっちゃって」
「そうだね。
今回は怜も悪いし、はなも悪い。
あ、怜からメッセージきてるわ。
はなのこと探してるって。
はなも結構まだ体しんどいんでしょ?
俺、はなのことかばってあげるから、病室戻ろ?」
そう言って、手を差し出してきた。
手を繋ぐってこと、、、??
天然で王子みたいなんだよね、、、この人、、
くりくりの目にやられて
仕方なく手を重ねてベランダを出た。