白衣の王子たち

「あっ、」

仕舞おうとしたスマホが

何者かにひょいと取り上げられた。

「そこまでしなくていいよ。」

上から蓮くんの声が降ってきて

後ろから手が回り抱きしめられた。

背中に蓮くんの体温と

心臓の拍動が伝わる。

「昨日、ごめん。」

顔が見えないけど

すごく哀しい声をしているのはわかる。

「はなの過去の思い出まで消さなくていい。

昨日は嫉妬で感情的になってた。

発作出させて、最低だよな。

体、大丈夫?」

「大丈夫だよ。

そんな大きい発作じゃなかったし。

そもそも、男性に対して

危機感がないわたしが悪いんだよ?

蓮くん、謝らないで。」

後ろを振り向いて

蓮くんの顔を手のひらで包む。

「仲直り、しよ?」

「うん。

ありがとね、はな。

遅くなったけど

成人おめでとう。」

ぐいと体を引き寄せられて

唇を重ねる。
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