白衣の王子たち

〈はなside〉

つんとする、消毒の匂いと

看護師さんが忙しなく行き交う廊下の音。

普段ならため息がでそうになるけど

今は少し安心する。

病院にいる限りは、

助けてもらえる気がするから。

「はなちゃん、起きた?」

白衣を着た佐倉先生が入ってきた。

「先生、当直だったのにまだいるの、、、?」

昨日は当直だったはず。

もう夕方なのに、

なんでまだ白衣なんだろう。

「はなちゃん10日くらい眠ってたんだよ。

眠ってたというより、

僕が強制的に眠らせてたっていう方が正しいかな。

誰かさんが無茶するから、体はボロボロだったし

しばらく寝ててもらわないと持たないから

少し薬で寝てもらってたんだ。

ごめんね。」

「そうなんだ、、、」

全然実感が湧かない。

意識を無くして目が覚めた時

未だにタイムスリップした気分になる。

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