白衣の王子たち

「っん、いきできな、、」

「苦しいね、吸入すえる?」

病室に戻った後、

発作が本格化してきた。

酸素のない世界にいるような感覚。

もうほぼ残ってない体力を、

ダイレクトに奪っていく発作。

口元に吸入を当ててくれてるけど

呼吸のコントロールがいっこもできない。

「、むり、できな」

「吸入も無理か。

呼吸器もってきて、早く!」

病室にやってきた看護師さんに

声を荒げて指示する佐倉先生。

異常値を感知して鳴り響くモニター。

佐倉先生がこんなに焦ってる姿、見たことない。

他人事のようにぼんやりと

最期ってこんな呆気ないのかなと思ったり。
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