白衣の王子たち
その頃、ちょうど受験勉強の佳境で
通院を疎かにして倒れて搬送されて、
自分の体を大事にできないくらいなら
進学は諦めてと、佐倉先生に言われて。
わたしの気持ちも知らないで、
心無いことを言ってくることに
腹が立って喧嘩になった。
「へえ。なるほどね。
勝手に人の選択肢を狭める怜は
俺は間違ってると思うけど。」
「でも、わたし多分そんなに先が長くないから、
進学しても意味ないかもしれな」
急に長い指がスッと伸びてきて
わたしの唇が止められる。
「ストップ。
俺、こう見えて医者としての腕は
誰にも負けないから。
君のこと、助けるよ。
だから、進学しな。わかった?」
なんて一方的なんだと思う傍ら、
屈託のない少年のような
ひとつの曇りもない瞳に、疑う余地はなかった。