白衣の王子たち
3畳ほどの空間に、天井までぎっしりの文献。
デスクには大量の付箋がついた医学書。
英語も入り混じっていて、正確にはわからない。
でも、デスクに積まれているこの医学書は
明らかにわたしの疾患の本ばっかり。
付箋には発作が起こった時の対処法のメモ書き
治療の記録
事細かに、貼り付けられている。
そして、その傍にある1冊のノート。
これまでのデートで撮った写真が
プリントされて綺麗に纏められている。
戻れなくなる、わかっていたけど
捲る手が止められない。
ノートの横には
ずっと前にわたしが好きだと言った
ジュエリーブランドのカタログが
何シーズン分も付箋付きで積まれていた。
「ずるいよ。」
ノートにぽつぽつと、水たまりができていく。
リリーは首を傾げてわたしを見上げていた。