契約夫婦なのに、スパダリ御曹司は至極の愛を注ぎ続ける
「あ……っ」
キスしながらゆっくりと押し倒される。
背中がベッドに沈むと、ひんやりとした冷たさを感じ、自分の体がいかに熱を持っているのかを自覚する。
私の顔の両脇に肘をついた悠介は、何度もキスを繰り返しながら右手で私の頬に触れ、その手をじょじょに動かしていく。輪郭を沿い、首筋を撫でた手が浴衣のあわせにかかる。そのまま肩まで移動した手に、帯だけで締められた浴衣は簡単にはだけ、身につけているミントグリーンの下着が悠介の眼下にさらされた。
夏美さんが用意してくれた着替えの中にあった下着は、ミントグリーンの生地に白いたくさんのレースの花柄が刺繍された、とても可愛く繊細なデザインのものだった。
それを見た悠介は、「この色、柚希に似合ってる」と言いながら、首筋に唇を押し付ける。
「ん……」
首に唇で触れられると、くすぐったいようなふわふわとした気持ちよさがあり、自然と声が鼻から抜けた。
鎖骨や肩にキスをしながら、悠介が私の帯を解く。お腹に悠介の浴衣の生地がじかにあたった感触で、前がはだけているのだと気付いた。
たしかに恥ずかしさはあるのに、一向に嫌だと思わなければ、止めようとも思わない自分に頭の隅で戸惑う。
だって……こんなの、いいんだろうか。戸籍上は夫婦とはいえ、相思相愛じゃない相手とこんなこと……。
私は悠介を好意的には思っているけれど、それは恋愛感情ではないし、悠介だって同じ気持ちのはずだ。
それなのに、私、どうしちゃったんだろう。
どうして〝もっと〟なんて、先を望んでいるのだろう。
「体、熱いな」
独り言みたいに呟いた悠介が、私の肩に唇で触れながら、下着のホックを外す。胸の締め付けがなくなると、さすがにためらいが生まれたものの、悠介が肩に吸い付くものだから、そちらに意識が囚われる。
わずかな痛みを感じたそこを舐めた悠介は、私と視線を合わせるとわずかに微笑み、再び唇を重ねる。