契約夫婦なのに、スパダリ御曹司は至極の愛を注ぎ続ける
「ふ、ぁ……っ、待って、ダメっ」
執拗に指先でいじられていたそこを、今度は舌で舐められると、喉がひくりと鳴った。
胸を舐められているというのが私にとっては衝撃的過ぎて、理解が追い付かず咄嗟にストップをかけて悠介の視線から体を隠すように身をよじる。
顔をベッドに押しつけ体を丸め込みながら「もう、ダメ」と降参し、跳ね上がったままの心拍数を落ち着かせるために呼吸を繰り返す。
脱がされた浴衣をもぞもぞと戻していると、悠介は、私が言ったとおり触れるのをやめてくれ、ややしてから「嫌だったか?」と静かに聞いた。
その声にはわずかなショックが隠れていた気がして、まだ諸々とパニック状態ではあるけれど、覚悟を決め視線を向けた。
誤解させたまま放っておきたくないという思いから見上げた悠介は、眉をわずかに下げ、心配するように私を見ていた。その表情に胸がきゅうっと締め付けられる。
「違う。全然嫌じゃなくて……むしろ、その、気持ちいいし、もっとって思ってた。でも……だって、こんなの、されたことにびっくりしすぎて頭が追い付かないよ」
そもそも、先を強請ったのは私だとしても、ファーストキスと胸を舐められる経験を同じ日のうちに済ませるのは違う気がする。
ファーストキスをしただけでも、きっと私はそこから一週間くらい思い出して照れてを繰り返して、平常心を取り戻すまで時間がかかると思うのに、それ以上なんてどんなに衝動が先を望もうと完全にキャパオーバーだ。