契約夫婦なのに、スパダリ御曹司は至極の愛を注ぎ続ける
私だってもう二十四だし、ワンナイトだとか大人の関係だとか、そういう恋愛の形があるのは知っている。いい大人の男女が同室に泊まるという行為がイコールなにを指すのかもわかる。
それに、悠介に言ったとおり、キスもそれ以上も全然嫌なんかじゃなかったし、色々考えないで雰囲気に流されればたぶん、最後までできてしまう。
でも、それじゃダメな気がしたのだ。
このまま、お互いに雰囲気に流されて最後までしたら……漠然とだけれど、はっきりとした理由は言えないけれど、きっとよくない。
「悠介に触られるのも……キスとかそういうのも、全然嫌じゃないし、それは本当だか……んっ」
誤解してほしくなくて、じっと見上げながら話していたのに、最後まで聞かずに悠介がキスしてくるので驚く。
ちゅっと触れるだけのキスをした悠介は、わずかに距離をとってからおでこをくっつけた。
「わかった。これ以上のことは、今日はもうしない」
そう言いながらまた唇が重なる。
じゃれるようなキスをされているうちに、頭の中でごちゃごちゃとしていた考え事がどこかへいき、緊急事態だといわんばかりに鳴り響いていた心臓の音も通常運転に戻る。
私の恐怖を取り除くように、おでこやこめかみ、鼻先や頬にやわらかく触れる唇が次第にくすぐったくなり、笑みがこぼれた。