契約夫婦なのに、スパダリ御曹司は至極の愛を注ぎ続ける


「私も悠介が好きなのかもって思い始めてから、結構色々考えたけど、今って偽装結婚中でしょ? それって、お互いの利益のためにした約束事で仕事に近いんじゃないかと思って。だとしたら、そこに私情を挟んでいくのは違うし悠介にとって負担を増やす結果になるかもしれないから」

私が自己満足のために告白してスッキリしたとしても、そのあと、悠介が抱えるものが増えるのは嫌だし、本意じゃない。
私は悠介にすごく助けられたし、それをきちんと返したいという思いがまず一番上にあるし、人としてそうでなければいけないとも思う。

約束した期限がくるまでは、恋心は横に置いておいて、ビジネスパートナーとしてしっかり役割を果たすべきだ。

そして、しっかり任務を遂行し終えたら、そのとき、想いを伝えたい。悠介の答えがなんにしても、私の気持ちだけは自分の口から直接言いたい。

そう説明すると、蘭は深く息をつき、背もたれに体を預けた。

「そっかー……うん。わかった。応援する。筋が通ってるし真面目な柚希らしいって言えばそうだしね。なんかでも、嬉しいな。柚希がちゃんと誰かを好きになって、しかもそれを前向きに捉えて伝えようとしているってちょっと感動する」

蘭が天井を仰ぎながら視線だけこちらに向けて続ける。


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