契約夫婦なのに、スパダリ御曹司は至極の愛を注ぎ続ける


けれど、それも最初だけで、関わっていくうちにどんどん警戒心は解けた。理由としては、雄二さんがあまりに裏表のない性格をしていて、すぐに懐に入り込んでくるような人たらしだった部分が大きい。

包容力というべきか。真面目で誠実で人当たりがよく、生徒からの絶大な信頼を誇る教師のようだった。

ハウスキーパーと姉に過度に構われ続けこれまできた俺にとっては、雄二さんとの距離感は心地よく、店ができてからは学校帰りは週三、週四の頻度で立ち寄っていた。

そのまま三年が経った頃だった。
雄二さんから、柚希を紹介されたのは。

当時十七歳の柚希を見た感想は、今となっては詳しく覚えていないが、白い肌にも栗色の髪にも全体的に色素の薄い印象を受けた。

二重の目も小さな鼻も桃色の唇もどのパーツも形が整っていたし、雄二さんが自慢気に『絶世の美少女だろ』と言っても異論はなかった。同じ時期、同じ学校に在籍していたら学年関係なく男子生徒の間で話題に上がるくらいには可憐な顔立ちをしていたし、実際にも柚希の学校ではそうだったと思う。

雄二さんがどれだけ可愛がっていようと、馴れ合うつもりはなかった。普通に会話を交わしていて結果、好意を持たれても面倒だ。いくら雄二さん自慢の知り合いだろうと興味はなかった。


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