契約夫婦なのに、スパダリ御曹司は至極の愛を注ぎ続ける
「そこまで騒ぐことか? プールサイドの男なんかみんなこんなもんだろ」
「プールで上半身裸なのと洗面所で上半身裸なのは意味が違うもん! 女性で考えてみてよ。まず、公共の場のビキニと密室の下着じゃ全然違うでしょ。そういう意味」
早口にまくしたてると、悠介はようやくその意味を理解したらしく「ああ……それはわかる」と納得してくれた。
でも、その間もYシャツのボタンを閉めてくれないため、悠介が動くたびに幅十五センチが広まったり狭まったりしていて目のやりどころに困る。
チラチラしている分、どうしても目がそこにいってしまう。
「私、身近にお風呂一緒に入るような男の人いなかったし、こういうハプニング慣れてなくて免疫ゼロなの。これでもし悠介が全裸だったら卒倒する自信がある……っていうか、ねぇ。筋肉すごくない?」
会話中もYシャツの隙間から覗いていた胸板と腹筋を不意に目にした途端、恥ずかしさを忘れ凝視してしまう。
はっきりと筋肉の形が浮き出ている悠介の体は私とはまったく違っていてびっくりした。
こういう筋肉は、テレビでは見たことがあった。
でも、間近で見るのは初めてなだけに、まじまじと観察するように見入ってしまう。
「……なんだよ。見すぎだろ」
ついには目を覆っていた手を外し、腰を折って凝視し始めた私に、今度は悠介が気まずそうな声を出す。