契約夫婦なのに、スパダリ御曹司は至極の愛を注ぎ続ける
「夕飯前に風呂を済ませておけ。どうせ食後は眠くなる。この間みたいに寝落ちしても運んでやらないからな」
部屋に感動している私のうしろで、悠介はすでに荷物を置き、スーツのジャケットをクローゼットにかけていた。
「あー……うん。そうしようかな。お腹いっぱいになったら寝ない自信がないし」
「子どもだな」
ふん、と意地悪く笑う悠介に「どうせ悠介よりは子どもですー」と適当に返す。
昔みたいなやりとりに笑うと、体に入っていた余計な力みが抜けた気がした。
「おまえの明日の服はクローゼットに準備されてるからあとで確認しておけ。それと、これは直接渡すよう頼まれてたものだ。風呂に必要な物だろうから、持っていけ」
悠介に手渡されたのは、A4サイズの厚みのあるショップバッグ。
中には白と水色のストライプ柄の巾着が入っていた。こっそり中身を確認すると、下着やストッキングといった直接肌につけるもので、夏美さんの気遣いに感謝する。
ショップバッグにも夏美さんのブランドのロゴがあるので、どうやら下着までリリースしているらしい。
しかし、本当に至れり尽くせりだ。
「十七時五十分か。このまま風呂に行って、レストランの前に十九時前に集合にするか」
「うん。お風呂も食事も楽しみだな」
悠介と夏美さんの心遣いを受け、へこんでいた気持ちがむくむくと顔を上げる。笑顔で返し、お風呂の準備をして悠介とふたりで部屋を出た。