どうも、噂の悪女でございます
    ◇ ◇ ◇


 豪華な調度品で揃えられた王宮の一室。イアン王子により手配された部屋に、メアリーの明るい声が響く。

「うふふっ! 意外と楽勝だったわ」

 ふかふかのベッドに倒れ込むと、右手を天井にかざす。そこにははっきりと花の形をした紋章が浮かび上がっていた。この紋章は『聖紋』と呼ばれ、聖なる力を持つものが持つ印だ。
 これまで、若い女性でこの印があるのは聖女であるマーガレットだけだった。しかし、今は自分にある。つまり、聖女はメアリーなのだ。

 先ほど、イアン王子に連れられてメアリーは国王夫妻にも謁見してきた。

『あなた達、本気なの?』

 王妃様はとても驚き眉を顰めたが、イアン王子とメアリーははっきりと答える。

『本気です。わたし、これから聖女として頑張ります!』
『私も本気です。マーガレットとの婚約は破棄し、メアリーと結婚します』

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