どうも、噂の悪女でございます
 絶対に、メアリーが男爵令嬢だからって見下して意地悪を言っていたのだ。

 先生にも何度もそう言ったのに全然取り合ってくれなかった。きっと、あの女が聖女で王太子殿下の婚約者だからだったから贔屓されていたに違いない。
 
(でも、そんな日ももう終わり)

 だって、聖女はメアリーなのだから。

「ふふっ、あははっ! 本当にいい気味」

 笑いが抑えられない。あの女が泣いて謝罪するなら、聖女の雑用係くらいはやらせてやってもいいかもしれない。

「あの手紙をくれた人は本当にいい仕事してくれたわ」

 それは、数カ月前のことだった。
 イアン王子と一緒にお昼ご飯を食べてから教室に戻ったら、机の上に一通の封筒が置かれていた。メアリーが中を確認すると、書かれていたのは驚愕の事実だった。

 ──聖女の力は他の者に移せる。

 手紙にはそう書かれていた。
 だから、メアリーはすぐにそれをイアン王子に伝えた。

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