どうも、噂の悪女でございます
    ◇ ◇ ◇


 マーガレットが屋敷に戻ったとき、卒業記念舞踏会での一連の出来事はすでに両親の知るところになっていた。ダレンが遣いを出して、事実のみを伝えてくれていたのだ。

「お父様、お母様。申し訳ございません」

 マーガレットは両親に謝罪する。
 多くの貴族子息、令嬢達が集まる場であのような醜聞の渦中の人となるとは、本当に迂闊だった。まさか、イアン王子があそこまで愚かだとは。

「いや、お前がどんなによくやってくれていたかは私が一番よく知っている。災難だったな」

 父であるベイカー侯爵は沈痛な面持ちで首を振ると、両手を広げてマーガレットを抱きしめる。

「しかし、あんなバカなやつに可愛い娘をやらずに済んだと思えばいいかもしれないな」
「まあ、お父様。ふふっ」

 全面的に自分の味方になってくれる両親には、感謝しかない。

「お父様。これから、どうなってしまうのでしょう?」
「既に国王陛下には私からもダレン殿からも連絡してある。大丈夫だ」
「そうですか」

 マーガレットは小さく微笑む。これから起こることを考えると少々心は痛むが、自分で撒いた種なのだから彼らにはきっちりとその後処理までやってもらわなければ。


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