どうも、噂の悪女でございます

(メアリーって、どのメアリーかしら?)

 ゴットン侯爵令嬢?
 もしくはリプトン伯爵令嬢?
 本当にわからない。

「どこまでもしらを切る気だな。俺がメアリーと親しくしていることを嫉妬して、お前が数知れない意地悪をしたこともわかっている!」

 イアン王子は横にいた小柄な少女を抱き寄せる。
 マーガレットはそこで初めて、その少女の存在に気付いた。ふわふわとしたピンクブロンドの髪に水色のぱっちりとした大きな目をした、人形のように愛らしい少女だ。

「あら。あなたはリットン男爵令嬢?」

 マーガレットの記憶が正しければ、それはリットン男爵令嬢のように見えた。

「メアリーに意地悪をしただろう!」
「……? していませんわ」
「ふざけるな!」

 イアン王子は怒りの頂点に達したようで、周囲の目も憚らずに大きな声で怒鳴る。

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