どうも、噂の悪女でございます
「イアン殿下。王太子ともあろう方が人前でこのように感情を爆発させるなど、もっての外です」
「黙れ! お前のそういうお高くとまったところが周りに疎まれる原因だぞ! お前は彼女のこと無視し、わざとお茶会に呼ばず排除しただろう」
「お言葉ですが殿下。わたくしはそのメアリー様とはほとんど喋ったこともございません。お茶会とは親しい者同士でするものですわ」
「ひどいっ! 自分が無視していたくせに、そんなことを言うなんて!」

 そこで大きな声を上げたのはリットン男爵令嬢のメアリーその人だ。イアン王子に抱きつくような格好をして、こちらを睨み付けている。

「聖堂でちゃんとご挨拶したときに『こちらこそよろしく』って言ってくださったのに、その後はまるで私がいないかのような態度を取られて。たくさんの方が見ていました。私の言っていることが嘘だって仰るんですか!? 私が男爵令嬢だからって、格下に見ていらっしゃるんですよね?」

 大きな目にいっぱいの涙を浮かべたメアリーが信じられないと言いたげに口元を押さえ、ぽろぽろと大粒の涙を流しながら捲し立てる。こんなに捲し立ててよく息が続くなと感心してしまうほどだ。

「おお、可哀想に。俺がいるからもう大丈夫だ」

 イアン王子は沈痛な面持ちで、メアリーを更に抱き寄せる。

 一方のマーガレットは、唖然とした。

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