どうも、噂の悪女でございます
「今日のことは多くの学生がイアン王子に非があるとわかっているはずだが、きみの立場が悪くならないように尽力しよう」
「ありがとうございます」
マーガレットがお礼を言うと、ダレンはふっと微笑む。
「お疲れ様。今度気分転換に、一緒に出かけよう」
「そんなことをしては、イアン殿下の不興を買ってしまわれるのでは?」
「構わない。俺がいないと困るのは殿下だ」
ダレンは両手を上に向けて、肩を竦める。
「まあ、ふふ……」
不敬だとはわかっていても、思わず笑ってしまった。確かにダレンの言うとおりだ。
「お気遣いありがとうございます、ダレン様」
マーガレットは屋敷に戻る馬車に乗り込み、馬車乗り場まで送ってくれたダレンにもう一度お礼を言う。ダレンのお陰で、随分と気持ちが軽くなった。
「また連絡する」
ダレンは片手を上げると、小さく手を振った。