契約結婚のはずなのに、予定外の懐妊をしたら極甘に執着されました~強引な鉄道王は身ごもり妻を溺愛する~
3.過保護な婚約者
実際暮らしはじめると、平屋のバリアフリーの家はとても快適だった。
階段を踏み外さないように注意したり、部屋と部屋の間の段差を気にする必要もない。これからおなかが大きくなってきたら、きっともっと楽だろう。
今はまだおなかは目立っていない。ちょっとふっくらしてきたかなという程度。
会社に出勤するときは、ウエストを締めつけない服を着て、大きめのジャケットやカーディガンで体のラインを隠している。
アパートから通っていたころよりも会社への距離は遠いし、最寄り駅も徒歩だと結構時間がかかる。実は、ここに引っ越してきた翌週の月曜日、通勤をどうしようかと悩んでいたのだけど、なんと伊織さんが社長車で送ってくれた。
それから毎日、もう一週間になるけれど、朝は一緒に出勤して、夕方は会社の近くまで車が迎えに来る。伊織さんは忙しくて帰りの時間が合わないことも多いので、そんなときは運転手つきの車を目立たない場所まで回してくれた。
「こんなに大切にしてもらっていいのかな」