契約結婚のはずなのに、予定外の懐妊をしたら極甘に執着されました~強引な鉄道王は身ごもり妻を溺愛する~
 隣では父と伊織さんが話していた。

「伊織さん、今日はお招きありがとう」
「いいえ、みなさん、お忙しい中お越しいただきありがとうございます」

 みんな、出産後に東京へ会いに来てくれたので、初対面ではない。特に母はひと月ほど東京の家に泊まって、新米ママと新生児の面倒を見てくれた。
 最近足が弱くなってきた祖父母が、杖をついてゆっくりと歩いてくる。

「おじいちゃん、おばあちゃんも元気だった?」
「この日を楽しみにしていたんだよ。まぁちゃん、かわいいねぇ」

 祖母はひ孫に会えて、すごくうれしそうだ。祖父も祖母のうしろでにこにこしている。
 リビングルームに移動して、愛菜をカーペットの上に下ろす。
 愛菜はソファーにつかまり立ちをして、よちよちと歩いた。でもすぐ、おしりからすとんと座ってしまう。重心がうしろにあるかんじが赤ちゃんらしくて、とてもかわいい。

「まぁちゃん、あんよが上手になったわね。あなたよりうまいかもよ、ひいおじいさん」
「うるさいな、ばあさんも最近足腰が弱って、俺と変わらんだろ」
「結菜が生まれたばかりのころのことを思い出すわぁ」
< 133 / 153 >

この作品をシェア

pagetop