契約結婚のはずなのに、予定外の懐妊をしたら極甘に執着されました~強引な鉄道王は身ごもり妻を溺愛する~

2.ファミリーウエディングは軽井沢で


 今回の軽井沢旅行では、愛菜の誕生パーティーのほかに、もうひとつイベントを予定していた。

「新婦、東條結菜さん、お入りください」
「はい」

 緊張でかちかちになった父と腕を組んで、教会の中に入っていく。
 そう、今日は結婚式。
 愛菜の誕生日の当日に合わせて、この軽井沢の教会の予約を取った。
 木漏れ日の綺麗な森の中にたたずむクラシカルな教会は少女時代の憧れで、伊織さんから身内だけの結婚式を挙げようと提案されたとき、まずここを思いついたのだ。
 それほど大きくはない。でも、とても優美な建物だ。
 夏の青空に映える真っ白な教会の中は、荘厳な空間が広がっている。アーチを描いた高い天井に、大きなステンドグラス。その美しさに目を奪われた。
 この日のためにあつらえた純白のウエディングドレスを着て、深紅のバージンロードを歩く。
 祭壇の前で待っているのは、白いタキシード姿の伊織さん。物語の中の王子さまのようで、見とれるほどかっこいい。
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