契約結婚のはずなのに、予定外の懐妊をしたら極甘に執着されました~強引な鉄道王は身ごもり妻を溺愛する~
「きゃっ、きゃっ」

 愛菜もみんなの真似をして小さな手を叩く。家族も会場のスタッフも、みんな笑顔になった。
 本当に親ばかだけど、この子は天使だ。
 伊織さんも同じことを思っていたようで、わたしたちは顔を見合わせて微笑みあった。



  * * *



 夜がふけて、別荘は静まり返っている。
 結婚式のあと、ホテルのレストランで食事会をしてから、浅野家の家族は隣町の実家に戻った。今この家にいるのは、わたしと伊織さんと愛菜の三人だけだ。
 愛菜も興奮しすぎて疲れたのか、キングサイズベッドの横に置いたベビーベッドでぐっすりと眠っている。
 寝室の天井にはトップライトがあり、そこから星空が見えた。
 空気が澄んでいるせいか、ひとつひとつの星がくっきり見える。宝石を散りばめたような夜空だった。

「結菜、眠れないの?」

 腕まくらをしてくれていた伊織さんが、わたしのおでこにキスをする。

「結婚式のこと、思い出してたの。素敵なお式にしてくれてありがとう」
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