契約結婚のはずなのに、予定外の懐妊をしたら極甘に執着されました~強引な鉄道王は身ごもり妻を溺愛する~
 彼の力強い腕に抱き上げられる。そして、くるりと回されると、あっという間にわたしが上になった。
 伊織さんの腰にまたがって、その筋肉質な体を見下ろす。
 美麗な顔がにやりと人の悪い笑みを浮かべた。

「今日は結婚記念日だろ? 朝までふたりでお祝いしよう」

 彼の情熱にとかされ、心も体も絶え間なく揺れて、熱い吐息が閉ざされた空間を漂う。ふたりきりの夜が更けていく。
 伊織さんの誘惑に負けてしまったら、きっと明日の朝、後悔する。でも、わかっていても止まらなかった。
 この人を恋する気持ちがどうしても止められないように。



  * * *



 ロイヤルスイートルームで迎える夜明け。
 やっぱりわたしは後悔していた。
 眠い。体が動かない。それなのに、精神的な興奮が残っているのか、なかなか寝つけない。
 伊織さんは満足した肉食動物のように深く眠っている。
< 152 / 153 >

この作品をシェア

pagetop