契約結婚のはずなのに、予定外の懐妊をしたら極甘に執着されました~強引な鉄道王は身ごもり妻を溺愛する~
「よかった。東條さんは写真を撮るのが趣味なんですか?」
「あれは母のカメラなんだ」
「お母さまの?」
少し照れくさそうに前髪をかき上げる東條さん。そして、彼はカメラにまつわる事情を話してくれた。
あのカメラは、東條さんのお母さまの遺品なのだそうだ。お母さまは彼がまだ幼いころに、病気で亡くなってしまったのだという。
「そんなに大切なものを……本当にごめんなさい」
「いや、わざとじゃないのはわかってる」
彼の母親は、結婚するまで芸能界にいた。わたしでも名前を知っているような有名な女優さんだった。
ただ、もともと撮られる側よりも撮るほうが好きだったらしい。日々の楽しみとして、小型のデジタル一眼レフカメラを愛用していたのだそうだ。
「東條さんも写真を撮るんですか?」
「特にそういう趣味はないんだが、今回は持ってきてしまった。父の一周忌の法要を終えたばかりで、感傷的になっていたのかもしれない」
「一周忌、ですか? あ、去年、ニュースで見たような……」
「父は仕事人間だった」
東條さんは視線を窓の外に向けた。
「あれは母のカメラなんだ」
「お母さまの?」
少し照れくさそうに前髪をかき上げる東條さん。そして、彼はカメラにまつわる事情を話してくれた。
あのカメラは、東條さんのお母さまの遺品なのだそうだ。お母さまは彼がまだ幼いころに、病気で亡くなってしまったのだという。
「そんなに大切なものを……本当にごめんなさい」
「いや、わざとじゃないのはわかってる」
彼の母親は、結婚するまで芸能界にいた。わたしでも名前を知っているような有名な女優さんだった。
ただ、もともと撮られる側よりも撮るほうが好きだったらしい。日々の楽しみとして、小型のデジタル一眼レフカメラを愛用していたのだそうだ。
「東條さんも写真を撮るんですか?」
「特にそういう趣味はないんだが、今回は持ってきてしまった。父の一周忌の法要を終えたばかりで、感傷的になっていたのかもしれない」
「一周忌、ですか? あ、去年、ニュースで見たような……」
「父は仕事人間だった」
東條さんは視線を窓の外に向けた。