契約結婚のはずなのに、予定外の懐妊をしたら極甘に執着されました~強引な鉄道王は身ごもり妻を溺愛する~
 また含み笑いをすると、東條さん――伊織さんはわたしを強く抱きしめた。

「体は大丈夫? 昨夜は激しくしてしまってごめん」

 耳に吹き込まれる吐息と低い声に、胸が苦しいほど高なる。

「だ、大丈夫ですっ」
「じゃあ、あと一回いいかな? 全然足りない」
「え? えぇっ!? もう、あ、朝ですから!」

 慌てて彼の胸に手を突っ張って距離を取ると、本格的に伊織さんが笑いはじめた。
 わたしをからかったのね?
 少し頬をふくらませて抗議して見せると、彼は上半身だけ起き上がって苦笑し、枕もとのスマートフォンを手に取った。厚い胸板と引きしまった腹筋がまぶしい。

「朝食はここに運ばせよう」
「クルーに電話するんですか? ふたりぶんってことですよね……?」
「もちろん、そうだが?」

 あちゃーと頭を抱えてしまう。それじゃあ、『あきつ島』のクルーにバレバレじゃない。わたしたちが同じ部屋で夜を過ごしたって。
 だけど、伊織さんはまったく気にしていないみたいだった。
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