契約結婚のはずなのに、予定外の懐妊をしたら極甘に執着されました～強引な鉄道王は身ごもり妻を溺愛する～

　なんだかどっと疲れが出て、途中で見かけた公園に立ち寄る。日向の乾いたベンチを選んで腰かけると、とたんに涙がこぼれた。

「どうしよう」

　うすうす予想はついていた。
　わたしはわりと生理の周期が安定しているほうなのに、もう三か月も来ていない。元カレとの件があって精神的に参っていたとはいえ、さすがにおかしい。
　そう思って昨夜、ドラッグストアで買った妊娠検査薬を使ったら、判定窓に現れたのは赤紫色のライン。陽性だった。
　今日は金曜日。平日で仕事はあるけど、それどころじゃなくて。風邪気味だと言い訳して会社を休み、産婦人科を訪れたのだった。
　覚悟を決めて診察を受けたのに、予想以上にショックを受けている。
　昨日ひと晩考えて、父親のいない子どもを生むなんて、無責任なことはやめようと決めたはずだった。経済的な余裕もないし、今後役立ちそうな資格やスキルも持っていない。そんなわたしがひとりで、成人するまで子どもを育てられるかどうかは無謀な賭けだ。