契約結婚のはずなのに、予定外の懐妊をしたら極甘に執着されました～強引な鉄道王は身ごもり妻を溺愛する～

　ふと見たら、クリニックからの帰りにコンビニで買ったサンドイッチがぽつんと置かれていた。ビニールの包装を取ると、乾いてパサパサになっている。とりあえず全部食べたけれど、最後には気持ち悪くなった。

　それから週明けにかけては、体調が最悪だった。
　ストレスもあるのか、急につわりが重くなってしまったのだ。食べ物のにおいに敏感になって、炊飯器でご飯が炊けなくなった。風邪を引くのが怖くて、ろくに換気もできない。
　ついに水曜、木曜と、風邪がまた悪化したと嘘をついて会社を病欠してしまった。
　そして、金曜日。這うようにして出社して、退勤時刻の十七時まで必死に業務をこなす。
　約束の夜、わたしはふらふらしながら、東條ホールディングスの本社がある大手町(おおてまち)に向かったのだった。