【書籍化決定】契約結婚のはずなのに、予定外の懐妊をしたら極甘に執着されました~強引な鉄道王は身ごもり妻を溺愛する~
「不思議なのは、きみのほうだ」
「え? わたしはごくごく普通だと思いますけど」

 大きな目をまたたかせて首をかしげる仕草にたまらなくなって、俺は彼女の頬に口づけた。

「い、伊織さん!? 運転手さんがいるのに」
「気にするな」

 突如として俺の前に現れ、あっという間に心の奥に入り込んだ、不思議な女性。
 始まりは契約の関係だったとしても、俺はいずれ結菜と本当の夫婦になりたい。彼女と一緒にあたたかい家庭を築きたい。
 俺自身は家庭に恵まれていたとは言えない。母親を早くに亡くし、父親は仕事に対しては有能だったが、子どもには不器用だった。
 そんな俺が、どうしたら彼女と子どもを最高に幸せにできるのか。
 俺は結菜の赤くなった頬をなでながら、頭の中で今後の計画を練っていた。
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