契約結婚のはずなのに、予定外の懐妊をしたら極甘に執着されました~強引な鉄道王は身ごもり妻を溺愛する~
 口をぽかんと開けた間抜けな顔で眺めていたら、伊織さんが上半身をそらしたわたしを支えるように、腰へ腕を回した。視線を感じて斜め上を見上げると、彼が心配そうにこちらを見つめている。

「結菜の好みと違っていたらすまない」
「え? わたしの好み? なんのことです?」
「できるだけ早くと思って、期限を一週間で区切って探したんだ。いずれきみの好きなようにリフォームしてかまわないから、とりあえず今はこれで我慢してほしい」
「はい? ちょっと伊織さんがなにを言ってるのか、よくわからないんですけど」
「とりあえず先に中へ入ろうか。体を冷やしてはいけない」
「は、はぁ」

 たしかに暖房の効いた車から出てきたので、少し寒くなってきた。
 大きな玄関扉を開けて中に入ると、広い玄関ホール。そこに用意されていたスリッパに履き替えて通されたのは、これまた広いリビングルームだった。
 リビングの中央には火のついた暖炉があり、暖炉の前にゆったりした赤いソファーが置かれている。
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