ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない
第八章


ハイスぺな俺は、いつもみんなから頼られる。
特に仕事で。
頼られるのは嬉しいけど、
俺も人間なんで、限界がある。

「加瀬君、今日の夜、空いてる?」
「はい」

空いてるというか空けてる。
クリスマスの準備をしたいから。

けど、社長から直々にこんなこと聞かれて
嫌な顔はできない。

「あぁ、よかった!
いやぁ、実は…」

俺は今晩、社長と取引先のドイツ本社から来る社長と
食事をすることになった。
通訳要員だ。

あー、夜絶対遅くなるやつ。

「加瀬さん、大変です!
昨日必着の荷物が届いてないって
客先から連絡がありました!
本日絶対必要なものだそうです!」
「加瀬さん!その荷物の件ですが、
雪で運送便のトラックが止まってるそうです!」

それは、ハイスぺでどうこうできる
問題じゃないよ?
二人して、
加瀬さんならなんとかしてくれるよね?
みたいな目で見られても、
俺は雪を解かす能力はないし。

けど、真摯に対応はする。

「わかった。俺、話つけてみる」

< 113 / 206 >

この作品をシェア

pagetop